軽油には、低温になると結晶化する「パラフィン(固形ワックス成分)」が含まれています。外気温が低下すると、このパラフィンが白く濁ってシャーベット状(ゲル化)になり、髪の毛よりも微細な燃料フィルターの目を塞いでしまいます。
日本産業規格(JIS K 2204)により、軽油は使用地域・季節に応じて5つの等級に分類されています。
| 軽油の種類 | 目詰まり点(CFPP) | 主な流通地域・季節 | 雪山での安全性 |
|---|---|---|---|
| 特1号 | +2℃以下 | 沖縄・温暖地(夏季) | 即凍結 |
| 1号 | -2℃以下 | 本州・四国・九州平野部(春・秋) | 即凍結 |
| 2号 | -8℃以下 | 都内・関東平野部の冬季(12月〜3月) | 危険(-5℃で目詰まりリスク大) |
| 3号 | -16℃以下 | 豪雪地帯(新潟・長野・群馬北部・東北)の冬季 | 安全(主要ゲレンデはこれでOK) |
| 特3号 | -25℃以下 | 北海道全域、志賀高原・野沢・菅平・蔵王等の極寒地 | 完全安心(氷点下20℃まで対応) |
ディーゼル車で豪雪地帯に向かう際の絶対遵守ルールです。
都内出発時は、現地手前まで走れる最小限の燃料だけを残しておきます。燃料警告灯が点く手前(残量15〜20L程度)が理想です。
高速道路のSAやインターを降りた直後の国道沿いGSで、現地の「3号軽油または特3号軽油」を満タンまで注入します。タンク内の寒冷地軽油比率を一気に80%以上に引き上げます。
給油しただけでは、燃料タンクからエンジンへ繋がる「配管(パイプ)」や「燃料フィルター内部」に都内の2号軽油が残ったままです。必ず15分〜20分以上走行し、燃料ライン全体を寒冷地軽油で満たしてから駐車場にエンジンを停止してください。
ディーゼル車以外にも、極寒環境では車載バッテリーや油脂類に過酷な負荷がかかります。
自動車の鉛バッテリーは化学反応を利用しているため、外気温が0℃で約20%、マイナス10℃では約30%以上も放電能力が低下します。使用開始から3年以上経過している弱ったバッテリーは、冷え込んだ朝にセルモーターを回せず一発で上がります。
・シーズン前にテスターで電圧・健全度(SOH)を測定しておく。
・手のひらサイズの「モバイルジャンプスターター(リチウム電池内蔵)」を車載しておく(※極寒時は車内放置せずホテルや寝袋内で保温)。
夏用の薄めたウォッシャー液をそのままにしておくと、走行中のマイナス10℃の風でボンネット上の噴射ノズルや配管がカチカチに凍結し、最悪ホースが破裂します。前走車の泥ハネや融雪剤(塩カル)でフロントガラスが真っ白になった際、ウォッシャーが出ないと視界ゼロの重大事故に直結します。原液のまま凍結温度マイナス30℃〜マイナス40℃対応の冬用ウォッシャー液に入れ替えておきましょう。
リチウムイオン駆動バッテリーは低温下で急速充電受け入れ速度が激減し、車内暖房(PTCヒーター/ヒートポンプ)によって電費が劇的に悪化します。カタログスペックの半分〜6割程度の航続距離しか走れない前提で、ゲレンデ手前30km以内の急速充電スポットを事前リサーチしておきましょう。